第2回講座「山と生きる」講座報告
2025年7月12日(土) 第2回講座「山と生きる」を実施しました。
講師は藤澤あやさん、祐作さんのご夫妻です。
■藤澤あや氏:岐阜県高山市出身。デザイナー。子育てを機にパートナーの藤澤祐作氏の実家である御内町金蔵連に移住。家族で放置林を整備しGonzore Trailと名付け、御内の森林の魅力を自身の感性で伝える活動を続けており、御内の清浄な植物と天然水で作った精油と芳香蒸留水ブランドSunlit Earthも立ち上げている。
■藤澤祐作氏:豊田森林組合職員。山主としても生まれ育った御内町金蔵連の森林の保全に取り組む。
最初に豊田市御内町の旧御内小学校を改装したコミュニティスペース「そらのうたMIUCHI」にて、国や豊田市の森林の概要と課題について、藤澤さんご夫妻からレクチャーをいただきました。
最近の酷暑とマダニ感染症に対する注意喚起と対応についての説明を受けた後、祐作さんとあやさんの案内で、実際に御内の森林のフィールドワークへ向かいます。
山主の境界線の話、古くから使われている公道=赤道(あかみち)や炭焼きの話、藤の絞め枯らしや、間伐と林道整備について。
祐作さんは専門知識を塾生にもわかりやすい言葉で、現地現物を示しながら説明してくださいました。
また、日本各地の森林や農地では、鹿の食害が深刻な問題となっており、鹿が草や木の芽、葉、樹皮など、様々な植物を食べるため、森林の生態系を破壊したり、農作物の収穫量を減少させたりしています。
御内の森林も例外ではなく、祐作さんは「種の絶滅するプロセスは今も進んでいる」と語られました。
今年は2名の塾生が神越川の洗礼(?)を受けつつ川を渡り、藤澤さんご家族が丹念に手を入れ拓いてきたGonzore Trailに到着。
神越渓谷の蛇行に囲まれたこのフィールドは、7月の酷暑の中でも清涼な空気を感じさせてくれます。
昼食をとった後、塾生はそれぞれ自然と向き合う時間を持ちました。
森と向き合うことで、フィールドワークと川越えの興奮が静まったところで、スタッフでアーティストの田中あつこによるアートワークを実施しました。
いまここで感じる空気・音・風・せせらぎ・匂い。
直感で選んだ色紙と3色のクレパスで、感じたものを表現します。
描いた絵は、グループで共有し、見た感想と、描いた感想を合わせます。すると作品が、思いもよらない立体感を持ちます。
その後、藤澤ご夫妻を囲んで車座となり、今日一日を通しての質疑応答や感想共有の時間を持ちました。
藤澤ご夫妻はそれぞれ都会の生活を経験したうえで、御内に住むに至った経緯や、今のくらし、Gonzore Trailを整備していったことなどをお話しくださいました。
—子育ては御内ですると決めていたこと。
実際に山深い御内で子育てするには、通院の苦労や、長男が5~6歳の頃は、こども自身が一人遊びしかできない辛さを感じていた時期があったこと。
今はお子さんが毎日のように「こんなところに住めて、なんて幸福なんだろう」と言っていること。
こども達を可愛がってくれている地域のお年寄りを、見送り続けなければいけないこと。
それでも、Gonzore Trail や そらのうたMiuchi 、Sunlit Earth などの活動を通して、場や商品や出逢いを生み出す楽しみもあることー
そんなお二人の、地域と共に、山と共にある生き方をお聴きし、塾生からは
「自分は目先の自分の仕事しか見ていなかったが、藤澤さんのお仕事は100年先のことも考え、志を山という形にのこせる素晴らしい仕事と感じた。自分もどんな形かわからないが、関りを持っていきたい」
「以前、他県の森林に入ったことがあるが、御内の森林は明るくて綺麗で、とても驚いたし感動しきりだった」
「山を見れば人が見える、という言葉が印象的だった。農林水産省の年間予算は2.3兆円ほどの一方で、コロナ対策費に77兆円(令和2年度)が計上された。もうすぐ参院選だが、一次産業や山林の保全についての政策も考え合わせたい」
などの感想が聞かれました。
祐作さんは「ここで暮らしてくれるパートナーがいるかどうかが一番大事」「山村のために何かしないといけないという事はなくて、山が綺麗だな、気持ちがいいな、と楽しんでくれて、どんな関りができるかなと目を向けてくれるだけでいい。昔ながらのくらしを受け継ぐことは出来なくても、気持ちを受け継いでいければいいのでは」と語り、
あやさんは「土地を愛している人が手を入れる。意識を向けるだけで山が変わる。愛する土地があって、できうる限りのことをして、ここで土葬されて土に還りたいと思っている。」「今日はみなさんと私たちの想いの一端を共有できたことが幸せでした」と語りました。
戸田塾長は「山の資源が現代のくらしから遠くなった気はするが、街を流れる川は今も山と繋がっている。今日、感じたことをふわふわと持ち帰ってもらえればと思う。」と締めくくりました。
藤澤ご夫妻には、貴重なご経験と知識を惜しみなくお話しくださり、心から感謝申し上げます。
季節ごとに様々な森林ならではの魅力を発信しているGonzore Trailに、また是非足を運んでもらえたらと思います。


