第5回講座「シアワセとは何か」講座報告


2025年1月18日(土)
路面凍結を心配する厳しい冷え込みとなりましたが、豊田市里山くらし体験館すげの里にて、第5回講座「シアワセとは何か」を実施しました。
今回は集合後すぐにヘルメットをかぶり、すげの里のある新盛町の通学路だった山道から林道を分け入り、「木の声を聴く」ワークショップからスタートしました。

最初に、当塾のスタッフで岐阜県立森林文化アカデミー出身の山崎葉子から、今回のフィールドの森林の特性や、樹種によって活用方法がちがうこと、木と密接につながる里山のくらしについての解説がありました。
同じくスタッフでアーティストの 田中あつこ をファシリテーターに、フィールドの二次林から自分の気になる木をそれぞれが選び、15分間、五感を研ぎ澄ませて、その木が発する”声”を「ただ聴く」「質問せず黙って聴く」時間を持ちました。
<「木の声を聴く」とは>
人は普通、他の生物とコミュニケーションはできないが、言葉が通じなくてもできるコミュニケーションは沢山ある。たとえば昔の畑仕事では作物と会話をしていた。他の生物とコミュニケーションできなければ、持続可能な社会は作れないのではないか、との問いから事前レクチャーを担当してくださった名古屋大学大学院の高野雅夫教授が実施しているワークショップ。





15分間、木と向き合った塾生からは
「木に15分じっと抱きついたのは人生で初めての経験だった」
「声は聞こえなかったが、気配を感じた」
「はじめは水の流れるような音を感じ、やがて木を切る音や木こりの作業の音がしてきて、これはこの木の記憶なのかなと感じた。ワークショップ終了のスタッフの合図が、木から聞こえた気がした」
「受け身ではなく自ら成長に向かっていかないといけないと感じた」
「温かさを感じる一方で、なにか変なものがついている、と木の拒絶反応も感じた」
など、様々な感想が聞かれました。
すげの里に戻り、約1時間の屋外ワークで凍えた身体を温かい飲み物で温めながら、戸田友介塾長のレクチャーを聴きました。
自分の人生を「幸福感」と「自分の意志/外的要因」とでグラフに表し、それをもとに、塾長が名古屋大学在学中に農業の会社を起業したこと、中国での農業プロジェクトへ参加したり難病にかかったこと、2009年に「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」を東京大学と豊田市と連携して実施し、豊田市旭地区の地域に入っていった経緯など、家族の変化とともに様々な活動について話しました。
子どもの頃から頼まれごとが多かったという塾長は、「ご縁で転がってきた人生で、勝手に定まっていった感じ」とご自身の人生を振り返りました。
美味しい昼食の後は、ワークショップ「私の幸せな一日」です。
スタッフも含め4つのグループに分かれ、それぞれに○年後の自分のある一日を、時間・場所・季節・周りにあるもの…とにかく細部までこだわってイメージし、紙に書いてみます。ある塾生は箇条書きに、ある塾生は絵で。それぞれの方法で自分の「シアワセ」を考えてみました。
書き上げた一日をグループ内で共有しましたが、それぞれのテーブルからは千差万別の「シアワセ」に、感嘆の声や歓声があがっていました。
休憩をはさみ、アーティストでアート講師の活動もしているスタッフ 田中あつこ によるアートワークショップ「シアワセを描く」を実施しました。
まずは先ほどの「私のしあわせな一日」のワークから抽出した「シアワセ」のキーワードをワークシートに書き、それを基に一枚の絵を仕上げます。
多くの塾生が、学校で点数がつけられる絵しか描いたことがない中で、自分のために自分の思うままに手を動かしてみるのは、新鮮な時間だったのではないでしょうか。
描いた作品に合う額を選び、完成させた絵と言葉で、自分の「シアワセ」を全体で共有しました。
一日のワークショップを同じく共有し、パステルを主とした同じ画材を使っても、表現するものが個々にこれほど違うことに、驚きと感動を覚えます。
多方面の感性を使った一日の講座の後は、懇親合宿を実施しました。
戸田塾長の猪肉の差し入れで、羽釜では猪汁を。季節の野菜の天ぷらに、塾長お手製のがんもどきのあんかけも加わり、豪華な食卓を囲んでの宴会は夜更けまで続いたのでした。
残念ながら講座は欠席でも、懇親合宿から駆けつけてくれた塾生は、「フラワーレスキュー」の活動をしています。翌朝、みんなにお花をプレゼントしてくれました🌸
一年間の講座や集落活動を通じ、塾生同士の関係性の深まりを感じる第5回講座でした。
次回はいよいよ最終回です!