第3回講座 「農山村の祈り・まつり」講座報告
2024年9月14日(土)
酷暑の影響か、例年より数週間早い稲刈りが行われた豊田市に澁澤寿一さんをお招きし、第3回講座「農山村の祈り・まつり」を実施しました。
【澁澤寿一さんプロフィール】農学博士。NPO法人共存の森ネットワーク代表理事。マングローブの植林活動や、開園当初から最先端の環境配慮をしたハウステンボスの企画運営に関わる。高校生が、地域で暮らす森・川・海の名人を訪ね、聞き書きという手法で取材し記録するプロジェクト「聞き書き甲子園」や、地域をフィールドに共に学び合う当塾の前身である「豊森なりわい塾」や「真庭なりわい塾」などの啓蒙活動を続けている。明冶・大正期の指導的大実業家=渋沢栄一は曽祖父。
著書に『ひとは自然の一部である』『森と算盤』。youtubeラジオ『キツネラジオ』。
澁澤さんのレクチャーは午前・午後の二部制で行われました。渋澤さんは、日本全国をフィールドに、長年地域づくりや人材育成に尽力されてきた知見と、経済の高度成長期や環境問題などご自身が生きてこられた時代背景から、二重にも三重にも味わい深いお話をしてくださいました。
「文化と文明、どちらかだけではなくどのようにバランスを取るか。地域と自然と都市もバランス」
「地域の祭りは住んでいる人たちの為の祭りで、子どもたちへの社会教育の場であった。都市のイベント的な祭りとは別物。」
激動の時代の移り変わり、縄文時代から2000年もの間、脈々と受け継がれてきた日本の農山村の持続可能だったくらしや地域自治。いまのくらしにひと続きなはずのその社会は、どのように変遷していったのか。
渋澤さんのお話をお聴きした後は、塾生・スタッフ・地域仲介人のみなさんも共にくるま座となって、思い思いに感想や質問を話しあいました。
よかれと思って人間の都合で考えてきた「発展」の一方で進む環境破壊や経済格差、地域の衰退。
どこで、何を、誰が間違えたのか―
澁澤さんは正解は無いとおっしゃいましたが、今日のお話を聴いたからには、共に考え続けたいのです。
塾生からは
「本来、食も農も生きるも全部つなっがっていて無駄・無縁なものは無いという視点を改めて得た気がする。」
「渋澤さんの講義から、余計なもの、邪魔なものだと決めつけていたものが、実は絶妙なバランスを取っていて、調和にはなくてはならないピースを担っているのではないかと感じた。」
「自然と、先祖代々と、神。とても壮大な規模の多様性の中で繋がりを感じる、一体となる。上手く言葉に出来ないが、凄く清らかなことで、魂の美しさを感じた。私もその感覚の極々僅かな部分でも、年老いた時に感じられる人間になっていたいと改めて思った。」
など感想が聞かれました。
この日の夜は、現在は閉館中のあすけ里山ユースホステルを、オーナーの小川さんのご厚意で特別に開館いただき、澁澤さんもご一緒に、懇親合宿を行いました。
同じ釜の飯を食い、同じ風呂に浸かり、同じ酒を酌み交わす。場を共有する意味を感じる夜になったのではないでしょうか。